NATUREL

NATUREL
1995年の年末、今年最後の買いおさめをしようとまだ幼い娘を連れて梅田に出むいた。前日は難波の中古屋をチェックし終わって、今日は娘も連れていることだし、手早く新譜CDを買い込むつもりだった。
阪急梅田駅から徒歩5分とかからないワルツ堂EST1店が最初だ。
事前にスイングジャーナルの海外新譜欄でここ数ヶ月にでたもので興味があるCDはだいたい頭の中にインプット済み。
エサ箱漁りの間に何を買って何を捨てるか計算しながら目ぼしいブツをピックアップしていく。おっと、バーゲンコーナーをチェックするのを忘れちゃいけないや。

ジャケットはたいしたことなかった。
なんかのオムニバス?コンピレーション?
「Naturel」としか書かれていない。
裏を見てミュージシャンの名前をチェック。
SIMON GOUBERTはグロスマン入りのSEVENTH盤をもっていて知っている。
ピアノは二人とも有名人、リーダーアルバムを数枚づつ持っている。
PETER GRITZも名前はなんとなく聞いた事が・・・
後は、全く聞いた事もないフランスのミュージシャンの名前が記載されている。
ジャケにトランペットが写っているのだから誰かが、きっと吹いているのだろうが、演奏楽器も記載されていないのでわからない。
LIONEL BELMONDO,STEPHANE BELMONDO,FRANCOIS CHASSAGNITE,GILLES NATUREL,GUILLAUME NATUREL・・・なるほど、BELMONDとNATURELは兄弟か親子、どちらにせよ血縁関係だな・・・でも肝心の演奏楽器がわからないので、内容を類推しようにもしようが無い。
後は曲目しかない。THE FEELING OF JAZZ,なんか聞いた事あるような題名だなぁ。その時はコルトレーン/エリントンのアルバムのことなどすっかり飛んでしまっていた。
後は知らない曲ばかり。
買うつもりのMARTIAL SOLAL TRIOがJMS盤なので、この「NATUREL」もJMSだからそんなに悪い事もないだろうと結局考え抜いた末、買うことに。
やはり、決め手はふたりのピアニストの存在。
JACKY TERRASSONとLAURENT DE WILDE・・・この二人がピアノ弾いてるだけでも最悪いいや、そんな気持ちでかったのである。
ひとつの賭け。
家に帰ってジャケをみて納得。
ピアノは二人が分け合っているのは想像したとうり。
テラソンとワイルデが3曲づつ弾いている。
DSはSIMON GOUBERTとPETER GRITZが、TSはLIONEL BELMONDOは全曲、GUILLAUME NATURELが5曲、TPはSTEPHANE BELMONDOが3曲、FRANCOIS CHASSAGNITEがラストの一曲を吹き分けているのが、わかった。
ベースプレイヤーは一人、GILLES NATURELが全曲受け持っている。
つまり、アルバムのリーダーという事だろう。
どうりでタイトルが「NATUREL」なわけだ。

今では結構認知されてきたBELMONDO兄弟の初期のプレイが収められているのもポイントが高い。実際、当時無名だった彼らの演奏にフランスの若手もなかなかヤルわいと一人悦にはいったのを覚えている。

今、5曲目のレイ・ブライアント作「RAY‘S BLUES」(後で知った)を聴いている。ジャッキー・テラソンのハンコックをよりアグレッシブにしたライン弾きの後でてくるBELMONDOのトランペットソロは短めだが、原石の輝きを感じさせるプレイ。
2曲目はこれも後で分かったのだが、トム・ハレルの「TRUSTING」。
シンプルだけどなかなかいい曲です。
そして、ハレルに勝るとも劣らぬプレイを披露している。
この曲はLAURENT DE WILDEのテラソンよりオーソドックスなジャズの伝統を踏まえたプレイが聴かれる。
6曲目はモンキッシュなピアノプレイが聴ける。ちなみにLAURENT DE WILDEはモンクの研究家で、本も上梓している。
TPとPのことばかり書いてしまったが、リズムセクションもしっかりしていて、こういうリズムセクションだと変化にも富んでいてソロイストはさぞやり易かっただろうと推測される。

結局ワルツ堂は約30分で済ませて、WAVEに移動。
そこからが悪かった。WAVEのジャズコーナー(その頃は結構な在庫量があった)を全部チェックしたのだ。約2時間・・・
最初は店の店員さんに相手になってもらっていた娘も、最後には片隅の床で寝てしまう始末。
それにめげずにCDチェックする父親。
まったく酷いもんです。

録音は1994年7月、1995年3月パリ







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